技術シーズ発表会 YouTube限定公開による講演動画の配信です
配信期間 視聴できる期間を11月1日(金)まで延長いたします
第3回産学連携技術シーズ発表会(バイオ・医療・食品・農業分野)を動画配信をいたします。
講演の技術シーズには、研究開発に関わる特許・実用新案等も含まれます。
視聴をされた方以外への配信は、研究者の知財保護からお控えくださるよう、お願いします。
第3回産学連携技術シーズ発表会【バイオ・医療・食品・農業分野】
第1講演
1.スポーツ頭部外傷の頭部外傷に伴う脳内物質の変化と生体の変化を可視化に関する研究
2.冷却(療法)による生体への影響と最適温度による臨床効果
日本大学 スポーツ科学部スポーツ科学研究科 教 授 小松 泰喜 氏
脳内物質の変化を探索し、その生体の変化を可視化することにより、スポーツ頭部外傷の障害
の具体的評価指標や脳機能の観察(モニタリング)の必要性とケガ後に「素早く冷やす」こと
が社会通念となっているが、冷却は適切な温度帯があり、筋損傷に対する修復過程にどのよう
な影響があるかについてお伝えしたい。
適用分野:スポーツ分野で必要なデバイスの開発や医療分野における日常診療など
第2講演
顧客志向による問題解決型医療・健康福祉機器等のデザイン研究
日本大学 芸術学部 教 授 長瀬 浩明 氏
顧客志向によりモノやサービスを提供するためにカギとなると注目されているのがユーザエク
スペリエンスデザイン(UXD)です。その方法論の一つとして位置付ける「3×4クロスデザ
インメソッド」は、ヒト(ユーザ・顧客)・ モノ(製品・技術)・ バ(流通・市場)という
3つのデザイン要素と、Step 1から4までの4段階のデザインプロセスを掛け合わせて展開す
るデザイン手法の枠組みです。本講演では、このUXDの方法論について概説した上で、筆者が
地方公設試験研究機関の研究員を経て現職に至るまでに培ったUXDのノウハウを基に学生らと
研究開発した『糖尿病患者のための携帯式インスリン保冷装置セット』(特許出願済)をはじ
め、産学連携による健康福祉関連等のデザイン開発事例を紹介します。
適用分野:医療、健康福祉等に関わる製造業、サービス業
参考資料→クロスデザインメソッド
参考資料は、講演者から提供しますので複写し活用ください。
第3講演
再生医療の未来を拓くDLC細胞培養制御技術
東京電機大学 理工学部理工学科電子情報・生体医工学系 教 授 大越 康晴 氏
細胞培養面のbiointerfaceは、適切な表面特性を設計によって、健全な細胞機能を促進します。
我々は、細胞親和性に優れるDLC: diamond-like carbonを1例として、成膜領域と非成膜領域
との比率を連続的に変化させることで、細胞が特定の比率において凝集機能を発現する評価
デバイスを作製しました。従来の手法では、用途に適したDLCの選定の難しさや、培養中の
細胞の分布の偏差といった偶発的な外乱が問題となります。これに対し、本技術では、DLC
や細胞の種類に応じて、細胞凝集機能を引き出すパターン成膜を迅速に選択することを可能
とします。この技術は、再生医療における細胞培養技術へ貢献できるものと考えています。
適用分野:1 細胞治療用の細胞培養、2 医薬品開発の効率化を図る細胞培養容器の
バイオインターフェースのための薄膜材料の評価ツール
第4講演
医療現場に革命を起こすヒアルロン酸誘導体
東京電機大学 理工学部理工学科生命科学系 教 授 村松 和明 氏
術後の癒着形成は、患者のQOL(生活の質)を著しく低下させるため、様々な術式に対応し
た癒着防止剤の登場が望まれています。現在では、シート状製品の手術時のハンドリングの
欠点を補ったスプレー式の癒着防止材も普及しているが用事調製を伴う煩雑さ等もある。
また、既存の製品の作用はいずれも体内で形成されたハイドロゲルが生体組織間の接触を物
理的に遮る効果に基づいています。それに対して、演者は組織の炎症反応を制御することに
より癒着形成を抑制することをコンセプトにした、新規な生理活性型の注入型癒着防止剤を
開発した。この癒着防止剤は、高分子量ヒアルロン酸を低分子量のポリグルタミンで修飾す
ることにより、ヒアルロン酸の生理活性と体内分解挙動の制御を両立させたものであり、且
つ1液性の注入型マテリアルであるため利便性にも優れています。
適用分野:医療・外科手術、美容分野、機能性食品
第5講演
診断・食品・環境の未来を拓く次世代遺伝子センシング技術
東京家政大学 家政学部環境共生学科 教 授 池田 壽文 氏
PCRを使用しないでウィルスや癌マーカーを高感度に検出できるセンシング技術を開発中で
す。生体試料から目的配列だけをカートリッジで抽出した後で、ターゲットを電気化学的に
”直接”検出する方法です。センサーチップには分解酵素耐性のあるペプチド核酸を用いて、
再現性や擬陽性の問題をクリアしています。PCRのような蛍光発光量を測定する方法と異な
り、電気化学的検出は振動に影響されないので、小型軽量化が可能で可動性に優れています。
そのため、未病状態のがん超早期診断以外に、現場での迅速判断が必要な1~3類感染症や
家畜感染症に有効です。また、農作物偽ブランド検査、港湾・空港での各種検疫や家庭での
POCT装置としての利用を期待しています。講演では測定原理、診断装置、に関する技術情
報を中心に説明します。
適用分野:がん超早期診断、感染症診断、感染症トレーサビリティー、農作物ブランド認証、
動植物検疫、POCT装置
第6講演
酵素反応に注目した小麦粉加工品の風味デザイン
埼玉県産業技術総合センター 北部研究所 食品プロジェクト担当 主任 成澤 朋之 氏
麺のような小麦粉加工品を開発する際には、通常、食感や加工性などが重視されるが、これ
らが一定水準に達すると小麦自体の風味による特徴付けが求められてきます。特に、長年、
日本各地で栽培されてきた小麦品種「農林61号」は、外国産小麦と比較して、麺にした際に
独特な風味があるとして一定の需要がありました。しかし、後継品種の「さとのそら」では
この風味がみられなくなり、製造現場では小麦自体の風味を生かして目的に合った特徴を持
たせる技術が求められています。そこで本発表では、1)麺の風味に影響する香り成分が製
造工程にてどのように生成・変化するのか、2) この変化を促進・抑制する成分、および
3) これらを利用した風味デザインの可能性について紹介します。
適用分野:製粉・製麺・製パンなど
第7講演
共生微生物を利用する昆虫に学ぶ
産業技術総合研究所 生命工学領域・生物プロセス研究部門 主任研究員 森山 実 氏
地球上には微生物を人間以上に長い期間にわたり賢く利用してきた生物がいます。一部の昆
虫は特定の微生物を体内の特殊な器官の中で培養する能力をもち、その共生微生物が産生す
る生理活性物質を効率的に利用することで、繁栄を築いてきました。私たちは、昆虫類が長
い進化の過程で獲得してきた微生物の物質生産や代謝状態を自在に操作する技術について学
び、微生物による有用物質生産の効率化や微生物の増殖を操作する技術、共生微生物を標的
とした害虫防除法の開発などへの応用展開を目指しています。本発表では、カメムシがもつ
共生微生物の体外保管技術や、近年増加が問題となっているトコジラミの研究について紹介
します。
適用分野:微生物によるものづくり、微生物保存剤、農薬生産、害虫防除、ヘルスケア
第8講演
地域未活用資源/有機廃棄物の資源循環に向けて
産業技術総合研究所 生命工学領域・生物プロセス研究部門研究グループ長 宮房 孝光 氏
産総研は、2023年11月より長岡市、長岡技術科学大学との3者の連携チームである「長岡・
産総研 生物資源循環 ブリッジ・イノベーション・ラボラトリ(NAGAOKA・AIST-BIL)」
を始動させました。日本屈指のコメどころである長岡では、日本酒製造や米菓製造、また自
治体としては最大規模となる生ゴミバイオガス発電などの各種事業から、高いポテンシャル
を持った未活用資源が発生しています。長岡を実証フィールドとして、これらの有機廃棄物
を含む生物資源の資源循環に関する研究を企業ニーズを出発点に展開し、企業支援による地
域経済の活性化を目指しています。本発表では取組み内容、注目している未利用資源の詳細
とその特長などについて紹介します。
適用分野:微生物によるものづくり、有機廃棄物利活用、食品残渣、未利用資源、ヘルスケア
産学・知財支援グループでは、産学連携に関する技術相談や共同研究を推進しています。
講演頂いた先生方は、産学連携の取り組みに積極的な研究者・技術者ですので、
製品技術や研究開発に関することなど相談されたい方は、当センターにご連絡ください。
■お問い合わせ
公益財団法人 埼玉県産業振興公社
新産業振興部 産学・知財支援グループ 高橋
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