〜秩父さくら湖でカナディアンカヌーによる自然体感ツアーを主催〜
代表社員:松本 芳行(まつもと よしゆき)さん
起業概要
起業 | 2020年 |
起業年齢 | 64歳 |
起業資金 | 900万円 |
業務内容 | カナディアンカヌーによるエコツアー(自然体感ツアー)の企画・運営 |
所在地 | 秩父市 |
ホームページ | https://bencher.co.jp/ |
略歴
- 大学卒業後、数年間会社員として勤めた後、小笠原村商工会の経営指導員として勤務
- 35歳:株式会社カーメイト入社
- 64歳:株式会社カーメイト退社
- 64歳:合同会社BENCHER設立
スケジュール
≪デイリー≫
- 5:00 起床、メールのチェック
- 7:00 秩父さくら湖へカヌートレーラー移動
- 9:30~12:00 カヌーツアー午前の部
- 13:30~16:00 カヌーツアー午後の部
- 17:00 カヌー艇庫へカヌートレーラー移動、片付け
- 18:00 経理処理
小笠原村から玉淀湖へ。 働きながら自然とふれあい暮らす
ある方からの紹介がきっかけで会社員から小笠原村商工会の経営指導員へ転身しました。小笠原村は学生時代の旅行で「永住したい」と思った山紫水明な地。自然や動物とふれあいながら35歳まで勤めました。退任後は株式会社カーメイトに入社。きっかけは、小笠原村で事業化したホエールウォッチングの雑誌取材記事を持ち込み、「面白そうなやつ」と見込まれたから。アウトドア事業部でドイツからカヌーを輸入するなど思いのまま仕事をさせてもらいました。会社勤務の傍ら、週末になると荒川上流の玉淀湖で家族や友人とカヌーを楽しみました。64歳で退社し、これから何しよう?と考えたとき、頭に浮かんだのは「カナディアンカヌーによるエコツアー」でした。
実現までにいくつものハードル。 人脈や支援金を活用。
やりたいことはあっても実現するまでが大変でした。秩父さくら湖畔はカヌーの保管場所がありません。湖畔までカヌーを運ぶトレーラーや倉庫を用意する必要があります。パドルやライフジャケットなど備品も必要です。幸いなことに、カヌーは前の会社から譲り受けたものを修理・塗装して用意しました。トレーラーは特注で製作。倉庫は秩父市協力のもと2か月かけて探し、借りることができました。初期投資が多く発生し、設立時の資本金200万円では足りません。備品は「埼玉県起業支援金」を活用して用意しました。支援金が支給されるまでの間、日本政策金融公庫からつなぎの融資を受けました。そして会社を設立してから半年後、2021年4月に「カナディアンカヌークラブBENCHER」をオープン。初めてお客様を乗船させることができました。
「秩父さくら湖でのカヌー」自社の強みを明確化
BENCHERの特長は、秩父さくら湖でカヌー体験ができること。湖畔でカヌーを管理できないこの湖では初めての取組です。秩父さくら湖は、日本屈指の巨大ダム「浦山ダム」にせき止められて誕生した人造湖。周辺には森林生態系の頂点に君臨しているクマタカをはじめ、カワセミ、ホオジロ、イワツバメ、カワウ、トビなど、約80種類の野鳥や、野生の鹿・猿などが生息しています。秩父の自然にふれると共に、浦山ダムの役割を再認識することで「自然と人間の共生」を考えるきっかけになってほしい。湖でのカヌーは、川や海のように流れのあるアクティビティと異なります。絶景スポットまでパドルを漕いだら湖上で一休み。湖の真ん中でのんびり眺める大自然は最高です。長瀞のアクティビティと並ぶ観光資源になることを目指しています。
新たな取組、多くの方に伝えていきたい
今後の課題は集客です。秩父さくら湖でカヌーや大自然が楽しめることをもっと多くの方に知ってほしい。秩父の街中から車で10分とアクセスも良好です。ありがたいことにメディアでも取り上げていただいています。コロナ禍でも感染対策を実施してツアーを運営しています。屋外ツアーであり、船上も十分なソーシャルディスタンスがあるため、安心してお楽しみいただけます。乗船したお客様全員が喜んでくれます。初めての起業で大変なことばかりですが、お客様の笑顔でモチベーションを維持できています。いずれ秩父の観光資源のひとつとなることを夢見て、地元の皆さまと一緒にこの取組をもっと広めていきたいです。
教えて!先輩起業家
シニア起業の心得は?
- 資金の用意は万全に。利用できる制度や今まで築いた人脈を最大限活用すること。
- 新しいこともトラブルもすべて「プラス思考」で取り組む。
- なんといっても集客が必要!効果的な広報手段を模索中です。
(2021年9月掲載)