〜西洋美術史講師の知識を生かし、彫金教室を開講〜
代表:中西 麻澄(なかにし ますみ)さん
起業概要
起業 | 2015年 |
起業年齢 | 51歳 |
起業資金 | 280万円 |
業務内容 | 馬をモチーフとしたジュエリーや小物の販売。ジュエリー教室 |
所在地 | 坂戸市 |
ホームページ | http://equoromano.com |
略歴
- ~西洋美術史講師として勤務
- 40歳:乗馬を始め、馬の美術表現に興味を持つ
- 45歳:馬の研究をまとめるため、東京大学博士課程に入学
- 48歳:同大学にて博士号取得
- 49歳:彫金に出会い、制作を始める
- 51歳:起業
- 53歳:彫金・七宝教室開講
スケジュール
- 週2日:大学で美術史講師として勤務
- 週1~2日:ジュエリー教室
- 週1~2日:学会関係の事務の仕事
- 1カ月に数回:カルチャーセンター等で美術史講師
- 空いた日程で彫金制作を行う
趣味の乗馬をきっかけに、馬の美術表現の世界へ
私のブランドでは、馬をモチーフにした彫金ジュエリーを取り扱っています。彫金とは金づちやたがねを使って金属を加工することです。ジュエリーの製造販売のほか彫金教室も自宅アトリエで主宰しています。馬との出会いは40歳の時に趣味で始めた乗馬で、商号のEQUO ROMANOもラテン語で「ローマの馬に乗って」という意味を表します。
東京藝術大学・大学院で西洋美術史を研究し、その後も同校で講師を続けていましたが、これをきっかけに、「馬の美術表現」を研究したいという思いが募り、45歳で東京大学大学院に入学。その後博士号を取得しました。
ちょうどその頃、仏具にも使われることのある彫金の打ち出し技法に興味を惹かれ、自分で何かを作りたいと思うようになりました。職場の東京藝術大学には専門家の先生がいて、49歳で先生の主宰する彫金教室へ入門。独立するまで3年間通って技術を習得しました。
経営の知識はゼロ。周りのサポートで何とか起業
通っているうちに技術が上達し、作品が売り物にならないかと思い始めました。起業のきっかけをくれたのもこの先生でした。自分のブランドを作って商売を始めるのであれば、税務署に開業届を出すことで新たな展開を描けるとアドバイスしてくれたのです。
実際、起業してみると商工会の方が青色申告についての相談に乗ってくれたり、国の補助金のことを教えてくれたりとさまざまなサポートをしてくださいました。芸術家にありがちなのですが、自分の作品を作ることには熱心なものの、市場のニーズを読み切れなかったり、経費と販売価格のバランスを見ることができないなど、経営者的な視点で物事を俯瞰できないといった欠点があります。私も例にもれず商売の勘所をつかむのが苦手なので、商工会との繋がりはとても助かり、今でもさかど産業まつりなどに出展し、作品販売のほか、何が売れるかや値付けについて勉強しています。
失敗もあったけれど、それを糧に再チャレンジ!
起業当初は自宅最寄駅近くの一軒家を借りて教室をやっていました。好立地ですし、多くの方が訪れてくれるだろうと、さまざまな機械や道具を買い揃えたのですが、集客はなかなかうまくいきませんでした。1年ほどやってみたものの、家賃もかさむことから、苦渋の決断で規模を縮小。自宅のアトリエで行うことにしました。一方で、それまで力を入れてこなかったホームページを刷新。ホームページの制作方法を学び、しっかりと作り込んだところ、彫金制作に興味のある方たちの目にとまり、群馬県の前橋や東京の多摩など、意外にも遠くから通って来てくださる方がたくさん出てきました。今はインターネットで教室を探す時代。立地に関わらずホームページをしっかり作れば宣伝ができるのだと実感しました。
学んだ専門知識を生徒さんの作品づくりに反映したい
夢は生徒さんの中から作家として自立できる人を輩出すること!そのためには、「体験」等で、一回限りのレッスンで終わってしまうのではなく、長年続けて通ってもらい、高い技術を積み上げてもらう必要があります。生徒さんが独創的な作品を作り上げるために、私がこれまで学んできた西洋美術史・馬の美術表現の知識を生かしながら、しっかりとした彫金技術を継承していきたいと思います。
教えて!先輩起業家
続けるためのポイントは?
- 柔軟性が大切。自分の路線・スタイルに固執せず、顧客の求めていることに応えていくことも商売には必要。
- 軌道に乗るまではある程度時間がかかることを予測して、精神的にも経済的にも準備をしておこう!
- ホームページはとっても大切!アピールできる魅力的なものを作ろう!
(2020年2月掲載)