〜会社員時代の経験・人脈を生かし、無理なくチャレンジ〜
代表取締役:中鶴 日南(なかづる ひなみ)さん
起業概要
起業 | 2012年 |
起業年齢 | 55歳 |
起業資金 | 300万円 |
業務内容 | のり、お茶、梅干し、お菓子などの職域販売 |
所在地 | 伊奈町 |
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略歴
- 老舗食品メーカーの営業職として働く
- 53歳:事業計画書の作成など起業に向けた準備を始める
- 55歳:早期退職し、起業
- 57歳:自社ブランド商品を本格的にスタート
- 62歳:百貨店での期間限定販売を実現
スケジュール
- 7:30:商品の積み込みチェック
- 9:30:販売先での設営開始
- 10:30〜14:00:商品販売
- 14:00〜:片付け・入金を行う
- 17:00〜:帰宅後、伝票確認や棚卸を行う
- 18:30:翌日の積み込み分を用意し、業務終了
早期退職で乾物の職域販売に参入
のりの製造販売を行う会社で30年以上勤めた後、早期退職して「いつか挑戦してみたい」と思っていた起業を実現しました。会社員時代と同じく、のりやお茶、乾物などを扱っており、販売形態は主に「職域販売」といって、企業の従業員向け社内販売を行っています。お昼休みを中心として、銀行や保険会社などのオフィスの一角を貸してもらっています。
経験・人脈を生かすからこそ「恩義を払って独立」する
起業には不安が付きものと言いますが、私の場合は扱う商品が現役時代とほぼ変わらず、社内ベンチャーの立ち上げに関わった経験もあったので、販売先や売上の確保には見通しがありました。退職前から、付き合いのある会社に起業を計画していることを伝え、独立後に職域販売をさせてもらう仮約束を取り付けたのです。また勤務先とは起業後の取扱商品や販売ルートについては話し合いをさせてもらい、互いに棲み分けができるように調整を行いました。気持ち良く商売をするには「恩義を払った上で独立する」ということは大切です。
同業他社はライバルであり、頼れる存在
起業当初は、前職で付き合いのあった会社を中心に営業をしていましたが、イベント等に出店するうちに、同業他社との繋がりも増えていきました。すると「ここでは売れる」「この会社では新しい出店者を探している」といった情報がもらえるように。中にはその繋がりで会社の担当者を紹介してもらい、新規販売先を獲得できたこともあります。また、私自身も何度か同業者に自分の販売先を紹介しました。起業後しばらくは相談相手がいなかったので、悶々とすることもありました。独立事業者にとって、同業他社はライバルである一方、持ちつ持たれつの関係なのだと実感しています。
自社ブランド製品で知名度を上げたい
乾物は消費期限が長いので廃棄リスクが低い一方、利益率も低いのが経営課題の1つです。原材料費は年々上がっているため、利益を上げるためには、たくさん売るよりも高くても売れる商品を揃える必要があります。そのため、ラインナップにはスーパーでは売っていない、でもお中元・お歳暮等で扱う高級ブランド品とも違う「特別感があって産地にこだわった品」をそろえています。職域販売では、お客様は固定されがちです。飽きさせないようにするため、いかに目先を変えるか、商材、取引先、売り方を変えることに気を配っています。知名度を上げるために、3年前から本格的に自社ブランド製品を展開するようにしました。
こうした地道な活動もあり、昨年は川越の百貨店からもお声掛けいただき、期間限定の出店を実現。百貨店への出店は目標の1つだったので、嬉しかったですね。今後の目標は実店舗を持つこと!販売先は広がってきましたが、いつかは自分が良いと思える商品を集めたセレクトショップのような店を開きたいです。
教えて!先輩起業家
続けるためのポイントは?
- 商品、売り方など目先を変えて、お客さんを飽きさせない工夫をしよう!
- 従来の人間関係や経験を生かせる業種で、無理なくチャレンジ
- 同業者とのつながりを大切に!ライバルでもあり、いざという時に頼りになる存在。
(2020年3月掲載)