【創業者紹介】特定非営利活動法人ケリアプロジェクト「生活介護ゆかりの木」

〜高校過程を修了した障がい者への支援

【特徴】

■NPO法人設立の経緯

ケリアプロジェクトは、「 埼玉県立川島ひばりが丘特別支援学校」に通う川越市の子供たちの両親が集まり、2018年に設立した特定非営利活動法人(NPO 法人)で、高校過程を修了した障がい者への支援を中心に活動をしています。現在のメンバー数は約20名で、法人の名称ケリアは、川越市においてこのような活動を行っていきたいという想いから市の花である山吹(英語名:karriaから名付けました。そして、このプロジェクトの主たる活動として、自身の子供の特別支援学校卒業を契機に、川越市下赤坂に、2020年4月、「生活介護ゆかりの木」を開設しました。

ゆかりの木外観 秋の庭の風景
■川越市における「ゆかりの木」の位置づけ

川越市は人口35万人超の中核都市ですが、障がい者のための生活介護施設や作業所など、彼らが日中を過ごせる場所が圧倒的に不足しています。特に、医療的ケアが継続して必要な人のための施設は市内にはほとんどありません。そのため、高校過程を修了し特別支援学校を卒業した障がい者は、自宅待機を余儀なくされるか、市外の施設に通わざるを得ません。
「ゆかりの木」では、このような川越市の課題の解決に少しでもつながるように、川越市や地域の医療機関との連携のもと、生活介護事業を行っています。
スタート時の通所者は名ですが、次年度以降、年度毎に特別支援学校を卒業し通所を予定している方がおり、皆さま頻繁に見学にいらっしゃいます。また最近は市外からの通所希望もあり、数年で定員の20 名に達する見込みです。

■「ゆかりの木」の支援内容
 生活介護における具体的な支援内容は、次のとおりです。
・ 排せつ、食事等の介助
・その他の日常生活上の支援
・日常生活全般における相談、助言
・身体機能や生活能力の向上のために必要な援助
・創作的活動、生産活動の機会提供

これらの支援に関して、出身校の先生、理学療法士、作業療法士との連携により、卒業後の生活環境の変化に無理なく対応できるように気を配ると同時に、利用者の体調、自然な姿勢、視聴覚障害や感覚過敏、医療的なケアなどに充分配慮し、安全で適切な対応を心がけています。
また、これらの支援を通じて、私たちはまず、それぞれの利用者が「何が好きか」に拘ります。特に、創作的活動・生産活動の機会においては、介護者が一方的に考えた定型的なプログラムではなく、一人ひとりの利用者が映像や音楽、色彩や造形など、何に反応し何に興味を示すかを辛抱強く観察し、それぞれが「できること」「好きなこと」「生きがいを感じること」を見出していきます。そして、その上で、一人ひとりに合った能力や才能を伸ばしていくお手伝いをしたいと考えています。
さらに、私たちは、被介護者と介護者がともに楽しい時間を過ごすことも大切にします。とかく介護は辛くて大変なこと、一方的に奉仕することと思われがちです。しかし、「ゆかりの木」では、肢体不自由に関してのケアはもちろん必要であっても、被介護者だけでなく介護者もお互い成人として時間を共有し、笑顔の多い生活介護の現場を作っていきたいのです。

■障がい者の母親の自立に向けて

母親の皆さんの自立にも「ゆかりの木」は手を貸していきます。障がい児の母親になると、生活のほとんどの時間を子供の世話に費やすことになり、それまでの自身のキャリアを諦めざるを得ません。
「ゆかりの木」では、このような母親の皆さんに、キャリア再開の機会を持ってもらいたいと思っています。「ゆかりの木」に子供を預けることで、自身が仕事につく時間を得ることができます。もし、元の職種に戻ることが困難な場合は、介護士の資格をとり、ゆかりの木の契約職員となり、プロとして障がい者の世話をすることも可能です。ですから、世間では介護士の不足が問題となっていますが、ゆかりの木では、そのなり手が沢山いらっしゃいます 。事務に関しても医療事務の資格を持つ利用者の母親の方が事務長として就職してくださいました。

■今後に向けて、 国内外への情報発信

障がい者施設は、利用者の方お一人毎に自治体から助成金が支払われます。ですから運営に関して費用的な問題はありませんが、よりよい環境づくり向けた新たな収入源として昨年からYouTubeでの情報提供を始めました。私たちが大事にする「障がい者の好きなことを見出し伸ばす支援」また「介護者と被介護者が共に楽しむという価値観」、そして「母親のキャリア再開の場」としての介護施設の在り方をどんどんYouTubeやブログで発信 していきたいと考えています。

 私も夫も海外での生活が長く、夫がオーストラリア人ということもあり、この施設の開設に向け実施したクラウドファンディングにおいては、海外の友人たちからも支援をいただきました。欧米では、日本よりもっと障がい者にたいする慈善活動や寄付行為が定着しており、私たちの施設にも毎月定期的に寄付を送ってくださる方もいます。
このような海外の方々に向けてもYoutubeで情報を発信すべく、映像は英語と日本語の二か国語で配信しています。次年度には、Web製作が好きな特別支援学校卒業生が通所される予定で、より充実した情報発信が可能になると楽しみにしています。
この「ゆかりの木」が、新たな障がい者生活介護施設のモデルとして、国内外を問わず参考にしていただけるように 、ケリアプロジェクトの皆さんと力を合わせ、さまざまな運営に取り組んでいきたいと思います。
ぜひ、興味を持たれた方、見学希望の方、ケリアプロジェクトに入会をお考えの方は、ホームページをお訪ねください。

【一言コメント】

息子の生活しやすい環境を考え、障がい者向けの医療機関のある埼玉県川越の土地に移り住み暮らしてきました。その土地で、自身の子供が成長し特別支援学校を卒業するに当たり、今後どこで生活介護をしていくか悩み、自身で施設を立ち上げました。またこの悩みは、川越市の多くの障がい者の両親に共通するものでもありました。
創業・ベンチャー支援センター埼玉からは、NPO法人の設立、また生活介護施設の開設に当たり、その手続きや融資に関して支援を得ました。何度も親身になり相談に乗ってくださった担当の開業アドバイザーには、大変感謝しています。
このような公的な支援や、クラウドファンディングを通じて様々な方からご支援をいただき、「ゆかりの木」の開所に至りました。これらの支援に答えるためにも、障がい者が生きがいを感じることができる、介護者も楽しむことができる明るい生活介護の場づくりを今後も追求し、発信していきたいと思います。

(2020年11月掲載)

企業プロフィール

事業所名 特定非営利活動法人 ケリアプロジェクト
代表者 山岸 史津子 (やまぎし しづこ)
創業年月 2018年12月
住所 埼玉県川越市赤坂558-5
電話番号 048-265-4897
URL https://kerriaproject.com
Mail kerriaproject2018@gmail.com
営業時間 9:00~17:00
休業日 日曜日 第 1 ・ 第 3 土曜日 年末年始

※新型コロナウィルス感染防止対策のため、営業時間、休業日が変更になる場合があります。




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