法定三帳簿の整備について
創業・ベンチャー支援センター埼玉の西出です。
お客様からの創業相談の中で、開業時や従業員雇用時の労働保険や社会保険の手続きについてお話をさせていただく機会があります。その中で、「法定三帳簿」の整備について改めてその大切さをお伝えしたいと思ったので、今回のテーマとしました。
法定三帳簿ということばを聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、これらは「労働者名簿」、「賃金台帳」、「出勤簿」の三つの帳簿のことを指します。各帳簿において、記入事項が決まっています(今回は、記入事項の詳細な説明は割愛します)。
労働者名簿
労働者名簿は、事業場ごと、かつ、労働者(日々雇い入れられる者を除く)ごとに作成しなければならないとされています(労働基準法第107条)。また、記載内容に変更があった場合は、遅滞なく訂正が必要です。
賃金台帳
賃金台帳は、事業場ごと、かつ、労働者ごとに作成しなければならないとされています(労働基準法第108条、同法施行規則第54条)。
出勤簿
出勤簿は、労働者名簿や賃金台帳とは異なり、法律に基づく作成が求められているものではありません。ただし、使用者は労働者の労働時間数を適切に管理する責務があるとされており、労働者の労働時間数を正確に把握するための帳簿として、出勤簿を整備する必要があります。
上記の法定三帳簿には、法律により三年間の保存期間が定められています。忘れずに調製し、日ごろから管理しておくことで、従業員の入退社に伴う資格取得・喪失の手続きおよび給付の手続きをスムーズに行うことが可能となります。また、法定三帳簿を整備し労務管理を適切に行うことは、労務に関するトラブルを防止するためにも必要なことだといえます。法定三帳簿は、法的にも、実務的にも、大切なものなのです。
各帳簿の書式は、自社独自のものを作成して保管することも可能です。また、労働者名簿と賃金台帳等の各種様式は、厚生労働省のホームページでダウンロードできます。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/index.html
開業するとなると、やるべきことが多すぎて、何から手を付けていいかわからなくなってしまうことがあるかもしれません。特に、仕事や子育て、勉強をしながら等、なにかと並行して開業準備をされる方には、時間の制約もあります。そんな大変な中ですが、ひとつひとつのことを忘れずに着実に進めていただきたいと思います。