地域や社会に役立つために起業
〜「教育の力」で社会に活躍する人々を支える〜
代表:井上 敏(いのうえ びん)さん
起業概要
起業 | 2019年 |
起業年齢 | 60歳 |
起業資金 | 50万円 |
業務内容 | 教員、保護者、学生向けセミナーや研修の企画及び実施 |
所在地 | 狭山市 |
ホームページ | https://educational-pj.com/ |
略歴
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- 私立の中学・高校の社会科教員として勤務
- 60歳:定年と同時に起業
スケジュール(例)
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- 月:非常勤講師として学校で講義、「国語力めきめきラボ」開催(中学生)
- 火:非常勤講師として学校で講義、オンライン教養講座開催(社会人)
- 水:講師等関係者との打合せ・取材、「国語力めきめきラボ」開催(小学生)
- 木:教育相談・カウンセリング等の実施
- 金:セミナー準備(テキスト等作成)
- 土:非常勤講師として学校で講義、教員応援セミナー開催(月末のみ)
- 日:休み
コンセプトは「アクティブラーニング」。教員向けセミナーが口コミで話題に
起業前は私立中学・高校の社会科教員でした。起業に向けて55歳から準備を始め、60歳の定年退職と同時に起業。一般社団法人を設立し、現役教員向けセミナーを開催しています。
一方的な講義ではなく「アクティブラーニング」としてディスカッションが中心です。個人と個人の対話から得られる学びを重視します。
参加した知人や卒業生が次回は仲間を連れてくるなど、少しずつ輪が広がっています。今は教員だけでなく、高校生から60代まで幅広い層の参加があります。不登校やダイバーシティなど世相が反映されたテーマは反響が大きいです。
起業のきっかけは「マニュアル化された教育を変えたい」
長い教員生活の中で生徒や同僚から「学校がつまらない。」「もっとこんな授業をしたいのに。」とよく相談を受けました。学校では生徒も教員もマニュアルどおりの生活です。大人しく授業を受ける生徒が良い子、そうでないと悪い子の評価です。
これが後の人生にも影響します。彼らは悪い子ではなく感覚が鋭いのです。多様性が注目される時代です。今教育の現場で求められるのは「生徒が驚くほどの手厚さ」ではないでしょうか。マニュアルどおりの授業を受けるだけから一歩踏み込んだ「先生とたくさんお話しできた!」「こんなに教えてもらえた!」という経験。それこそが彼らの人生を豊かにします。
勤めていた学校でも教員向けに講演する機会はありました。マニュアルを越えてもっと自分らしく伝えたいと思ったのが起業のきっかけです。実際はマニュアル化された教育の制度を変えることはできません。
教員を通じて少しずつ現場が変わればいい。生徒たちの顔を見ると一目瞭然です。現場の空気に変化があると嬉しく思います。
長く続けるため、メンタルヘルスを重視
怖いもの知らずで思い立ったらすぐ行動してしまう「飛び込み隊長」なんて呼ばれる私ですが、40代の頃ストレスで顔面麻痺を起こしました。いくら病院を回っても原因不明。増える薬で体も心もボロボロ。そんなとき「薬に頼るな!」と言う医師に出会い、驚くほど丁寧なカウンセリングを受けました。症状も徐々に改善。その医師の対応こそ自分の理想であり、起業の原点かもしれません。
今でも毎月通うくらい信頼している方です。定年後の起業は多かれ少なかれ皆不安を抱えています。まずは信頼できる人に相談し、一歩踏み出してみることが大切です。
収支改善に企業の力をプラス。手厚い教育が広まるために
質の確保のため、個人を対象としたセミナーは有料としていますが、利益を求めません。
一方、収支改善を見据えた今後の展望として、中小企業を対象とした「福利厚生プロジェクト」が進行中です。教育の視点を取り入れた人材採用やキャリア・子育て・教育支援、社会保障制度の正しい理解等といった「福利厚生のコンサルティング」を行います。
安心できることで力を発揮できる人材はたくさんいます。中小企業がもつ家族的経営のメリットに改めて着目し、手厚い福利厚生を伴った従業員の人生設計を会社が請け負うモデルを作りたいと考えています。
現在、セミナーはオンラインと対面のハイブリッド方式です。両手段のいいところを取り入れた「意味のあるセミナーや講座」をより一層充実させるために、日々、試行錯誤が続いています。
教えて!先輩起業家
シニア起業の心得は?
- 信頼できる人に相談すること(年齢は関係なし)
- できないことを言い訳にしないでやってみること(トライ&エラーはリスクではない)
- 見えない世界を見たいと思ったらすぐに行動すること(それができる環境を構築する)
(掲載: 2023年1月)